浜松HAPPY化計画ブログ

鈴木めぐみが見つけてきたあんなコト・こんなコト

「みんなで楽しく政治しよう!+」第5回

「なぜ、やらないんだ!」から「一緒に考えよう」へ
 〜市民と行政の新しい関係をめざして〜

  
■「バカの壁」を乗り越えよう
 「なぜ、やらないんだ!」「なぜ、できないんだ!」と役所に電話したり、窓口で職員に怒鳴り込む人は少なくない。しかし、その結果は決まったように「だからお役所は、、」「だから公務員は、、」とあきらめで終わっていないだろうか。

 確かに、お役所の硬直した行政組織、誰も責任をとらない体質、市民の税金で働いていることを忘れたような職員態度などに、うんざりすることがある。あまりの対応の悪さや分からず屋に、苛立つ気持ちもよくわかる。しかし、冷静になって観察すると、どんなに力説しても、伝えたいことの半分も職員に通じていない、わかってもらえていないことの方が多い。職員の聴く姿勢に問題があり、それは変えていく必要性はあるけれども、それだけではない。言葉が通じないのは、市民とお役所の間に「バカの壁」(養老孟司著から)が立ちはだかっているからだ。だから仕方がない、で終わるのではなく、「バカの壁」の存在を認識しつつ、それを乗り越える術を見つけだしていきたいものだ。今回は、これまで私が使って、それなりに成果があった方法をお伝えしたい。


■円卓会議は使えるぞ

 新たな、そして複数の課にまたがる課題には、円卓会議がお勧めだ。円卓会議とは、ある課題に関心のある市民、市民団体が関係する機関や課、議員に呼び掛け、一同に集まり、それぞれの立場から解決策を検討する会議のことだ。これまでシックハウス症候群への対応、性同一性障害への対応、海岸侵食の問題などの課題に対して、実施してきた。この手法の特徴は、一同に会することにより、理解に温度差のある人たちの間でも、情報や意見交換が効率よく実施され、課題への理解を一挙に進めることができることだ。

 二年前に実施した「公共施設におけるシックハウス症候群予防対策」の円卓会議の様子を報告しよう。アトピーの子どもたちを持つ親の会から、「市の公共施設のシックハウス症候群対策が気になるのだけれど」と相談を受けた。そこで、私はまず関心のありそうな方たちと勉強会を開いた。と同時に市役所の中で関係のある課を洗い出し、公共施設におけるシックハウス症候群予防対策について、関係九課と関心のある市民とともに話し合いをしたいと声をかけた。すでに情報を持っている課もあったが、中には初めてその言葉を聞いたという課もあった。

 当日は、シックハウス症候群の症例報告、各課からの取り組み状況報告、事前に渡しておいた質疑への回答、質疑応答という流れで会議を進めた。それぞれの事前準備と当日の活発な情報・意見交換、またプロセスを共有することにより、壁を破り、議論の土俵をつくり出すことができた。その結果、予想外に参加職員の中から役所全体のガイドラインが必要ではないかという意見が出てきた。もちろん、市民側もその場で賛成し、年度中に浜松市公共施設におけるシックハウス症候群ガイドラインを策定したらどうかと会議はまとまった。話し合いの結果を受けて、参加した団体が市長宛に要望書を提出。円卓会議を経ているので、前向きな回答を得、粛々と実施されていった。

■円卓会議を効果的に実施するコツ
コツ1.主導権はあくまでも市民側が持とう。
コツ2.理解の得られそうな議員・専門家を、企画段階から巻き込もう。
コツ3.すべての議員に声をかけ、当日に参加してもらおう。議会や委員会で発言するネタにしてもらおう。(そのまま使ってくれる議員も結構いるものだ)
コツ4.円卓会議をすることをマスコミに伝え、記事にしてもらおう。
コツ5.会議の後も丁寧に対応しよう。議事録で、参加者と情報を共有していこう。

 行政は、私たちが税金を払い、私たちみんなの問題を解決するためにつくられた機関。批判するだけでなく、「一緒に考えようよ」と巻き込み、市民側が主導権を握りながら、行政を動かしていく。それがこれからの市民と行政の新しい関係。さあ、円卓会議から初めてみませんか。

(『WE』2005年/一部修正)