浜松HAPPY化計画ブログ

鈴木めぐみが見つけてきたあんなコト・こんなコト

数の横暴/力の行使の仕方が間違ってる

これまでも様々な議論がされ、いろいろと課題が残っている「浜松市子ども育成条例」。

340件ものたくさんのパブリックコメントが寄せられ、市民の関心の高い条例であった。

私は、制定を急ぐのではなく、時間をかけて、市民と議論をし、多くの市民が納得し、「使える」よい条例にしたいと願っていた。

しかし、制定当初、子育て支援を主な目的としていた条例だったはずが、子ども総合条例となり、いつの間にか、子ども(健全)育成条例とすり替わってしまっていった。私は、目的がころころと変わっていったこと、作成プロセスに市民参加が十分でないこと、子ども第一を目的とするなら、「子どもの権利保障」はきちんと明記すべきなどで、市側の提案していた条例案には反対だった。

ただ、今後できるだけ使えるようにしたいと本会議上で「質疑」をし、今後の予算や事業をたてる際には、子どもの最善の利益を守ることをするとの答弁をもらった。


その条例が委員会審議にかかる前日に、急に自民党浜松から修正案が出されてきた。これまで、意見交換会やパブリックコメントなどで出てきていなかった意見だ。まして、議会の中の公式な場でも出てこなかった意見だ。

不完全ながらもこれまで意見交換会やパブリックコメントなど市民参加でしてきたことが、議会の中の数の論理で、修正されてしまうとは。。。。

急遽出され、市民の知らせる時間もないまま、委員会で通ってしまった。(最終採決は24日の本会議)

いろんなおかしなところのある議会だが、そんな無茶のことのしない議会だった。
それが、数の力でこれまでのプロセスを無視していく「行為」に、背筋の寒い思いがする。

自民党浜松が提出した修正案の問題点

愛国心を入れたこと

子どもに国を愛する心をはぐくむことができる環境づくりが、基本理念に加えられた。

愛国心は、各々のイデオロギーによって解釈が異なる言葉だ。愛国心を押し付けられることにアレルギーを感じる人たちは大勢いる。それを市民の議論なしに入れることは、怖い。


子育て支援団体を排除したこと
子ども・子育て支援団体を条例から排除し、子ども育成団体としたことだ。子ども・子育て支援団体は、パブリックコメントの結果入った言葉だ。子育て支援は行政だけでできるものではなく、民間団体が提供している支援があってこそ、豊かな子育て支援状況ができる。

15年ほど前までは、「子育ては母親がするもの」と言われ、行政の子育て支援は大変貧弱だった。密室育児、公園ママなどが社会問題化し、少子化問題もクローズアップされる中で、「子育て支援」が注目をあびるようになっていった。経験をもとに、母親たちを中心とする子育て支援団体がたくさん生まれ、そのあとを行政が追いかけてきた。今では「仕事以外で子どもを預ける」ことは普通にできるようになったけれど、私が子育てしている時は、近くに母親がいないと、かなえにくい夢であった。

子育て家庭をしなやかに支えてきた子育て支援団体を「協働」の相手と入れないことは、時代に逆行する。


条例は市の施策や予算をしばり、市民の意識を誘導していく。子育て支援団体を見ない存在にしていくことで、何を狙っているのだろう。考えると背筋が寒くなってくる。


とりあえず、委員会を通った条例修正案を載せておく。

浜松市子ども育成条例(自民党浜松修正案)

 子どもは、浜松市の宝であり、明日への活力の源です。
 子どもは、年齢、性別、障害の有無、国籍などによらず、一人一人が様々な個性、資質や能力、夢を持ったかけがのない存在です。子どもが家族や地域のぬくもり、自然の中でのびのびと遊び、学び、育っていくことは、私たち浜松市民すべての願いです。

 しかし、家庭における養育力や教育力の低下、児童虐待が心配される一方で、地域社会における人間関係や社会意識の希薄化が見受けられるなど、子どもを取り巻く環境が大きく変化するとともに、学校等におけるいじめや不登校も社会問題となっています。

 また、結婚や出産に対する個人の意識の多様化や、未婚化、晩婚化などにより少子化が進行することで、経済活動の停滞や地域社会の活力低下など、市民生活に深刻な影響をもたらすことが懸念されています。

 このような状況に歯止めをかけ、子どもが生き生きと輝く社会を実現するためには、市、保護者、学校等、事業主、子ども・子育て支援団体子ども育成団体及び市民がそれぞれの役割を果たし、お互いに連携することにより、社会全体で出産や子育て、子どもの育ちをしっかりと支えて、子どもの生きる力をはぐくんでいくことが必要です。

 ここに、地域のあらゆる力を結集し、浜松市の未来を担う子どもを育て、守っていくことが重要であるという意識の下、子ども生き生きと輝き、子育てがしやすく楽しいと感じられる社会の現実を目指して、この条例を制定します。

(目的)
第1条 この条例は、未来を担う子どもを社会全体で健全に育成し、支えていくための取組について、その基本理念を定め、市、保護者、学校等、事業主、子ども・子育て支援団体子ども育成団体及び市民の役割を明らかにするとともに、市の基本的施策を定め、これを総合的かつ計画的に推進することにより、子どもが生き生きと輝き、子育てがしやすく楽しいと感じられる社会の実現を目指すことを目的とする。

(定義)
第2条この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 子ども 18歳未満の者をいう。
(2) 保護者 親権を行う者、未成年後見人その他の者で、子どもを現に監護するものをいう。
(3) 学校等 学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する学校、児童福祉法(昭和22年法律第164号)第39条第1項に規定する保育所その他これらに類するものをいう。
(4) 子ども・子育て支援団体 子どもの健全育成や子育ての支援を行う団体をいう。子ども育成団体 子どもの健全育成に携わる団体をいう。


(基本理念)
 第3条子どもを社会全体で健全に育成し、支えていくための取組は、次に掲げる基本理念にのっとり、行うものとする。
(1)すべての子どもが人としての尊厳を有し、かけがえのない存在として尊重されるとともに、子どもにとって最善の利益が考慮されること。
(2)市、保護者、学校等、事業主、子ども・子育て支援団体及び市民が、それぞれの役割を果たすとともに、子どもが育つ喜びを分かち合い、相互に連携を図りながら協力して一体的に取り組むこと。子どもがそれぞれの夢と希望を持ち、様々な経験や学習を通じて創造力と豊かな人間性を身に付けるとともに、自分や他人の命を大切にし、他人への思いやりや共生の心、郷土や国を愛する心をはぐくむことができる環境づくりを行うこと。
(3)子どもがそれぞれの夢と希望を持ち、様々な経験や学習を通じて創造力と豊かな人間性を身に付けるとともに、自分や他人の命を大切にし、他人への思いやりや共生の心をはぐくむことができる環境づくりを行うこと。
市、保護者、学校等、事業主、子ども・子育て支援団体子ども育成団体及び市民が、それぞれの役割を果たすとともに、子どもが育つ喜びを分かち合い、相互に連携を図りながら協力して一体的に取り組むこと。

(市の役割)
第4条 市は、子どもを社会全体で健全に育成し、支えていくための施策を総合的に実施するものとする。
2 市は、前項の施策の実施に当たっては、保護者、学校等、事業主、子ども・子育て支援団体子ども育成団体及び市民の理解と協力が得られるよう努めるものとする。
3 市は、保護者、学校等、事業主、子ども・子育て支援団体子ども育成団体及び市民がそれぞれの役割を果たす上で、相互に連携と協力が図られるよう努めるものとする。

(保護者の役割)
第5条子育てについての第一義的責任を有する保護者は、愛情と責任を持って、子どもが健やかに育つよう努めるものとする。
2 保護者は、自らが模範を示しながら子どもに基本的な生活習慣や社会規範を身に付けさせるとともに、子どもとの日常的な触れ合いを通して、子どもの心身のよりどころとしての家庭環境づくりに努めるものとする。
3 保護者は、子どもの育成に最善を尽くすとともに、地域社会や学校等との適切な連携を図るよう努めるものとする。
4 保護者は、市が実施する、子どもを社会全体で健全に育成し、支えていくための施策に協力するよう努めるものとする。

(学校等の役割)
第6条学校等の管理者は、子どもが将来への夢と希望をはぐくむことができるよう努めるものとする。
2 学校等の管理者は、すべての教育活動を通じて、子どもが豊かな心、健やかな体、生涯にわたって学び続けることができる基本的な知識や技能及び豊かな創造性を身に付けられるよう努めるものとする。
3 学校等の管理者は、子どもが健やかに育つために、保護者や地域社会との連携を積極的に図るよう努めるものとする。
 4 学校等の管理者は、市が実施する、子どもを社会全体で健全に育成し、支えていくための施策に協力するよう努めるものとする。

(事業主の役割)
第7条事業主は、第5条に規定する保護者の役割を十分に認識し、その雇用する労働者が仕事と家庭生活の調和を図ることができるよう、必要な雇用環境の整備や職場における労働者の相互理解の促進に努めるものとする。
2 事業主は、市が実施する、子どもを社会全体で健全に育成し、支えていくための施策に協力するよう努めるものとする。

子ども・子育て支援団体子ども育成団体の役割)
第8条 子ども・子育て支援団体子ども育成団体は、その専門的な知識や経験を生かし、子どもの健全育成や子育ての支援に関する取組を積極的に行うよう努めるものとする。
2 子ども・子育て支援団体子ども育成団体は、市が実施する、子どもを社会全体で健全に育成し、支えていくための施策に協力するよう努めるものとする。

(市民の役割)
第9条市民は、保護者が安心して子育てができるよう、目配り、声かけ等を通して子どもが健やかに育つことができる地域社会づくりに努めるものとする。
2 市民は、地域社会において、子どもの考えや行動に関心と理解を持つとともに自らが模範を示しながら、子どもに様々な経験や学習を重ねることにより、子どもが社会の一員としての役割を自覚するとともに、生きる力や郷土を愛する心をはぐくむことができるよう努めるものとする。
3 市民は、市が実地する子どもを社会全体で健全に育成し、支えていくための施策に協力するよう努めるものとする。

(はままつ子どもふれあい週間)
第10条市民一人一人が子どもや子育てについての関心と理解を深めるために、毎月第3日曜日から始まる1週間をはままつ子どもふれあい週間(以下「子どもふれあい週間」という。)とする。
2 子どもふれあい週間には、市、保護者、学校等、事業主、子ども・子育て支援団体子ども育成団体及び市民は、それぞれの立場で、啓発その他の子どもとの触れ合いに関する活動を実施するよう努めるものとする。

(計画の策定等)
第11条市長は、子どもを社会全体で健全に育成し、支えていくための施策を総合的かつ計画的に実施するための計画を策定するものとする。
2 市長は、前項の計画を策定し、又は変更しようとするときは、広く市民の意見を聴くとともに、当該意見を反映させるよう努めなければならない。
3 市長は、第1項の計画を策定、又は変更したときは、速やかに、これを公表しなければならない。

(広報及び啓発)
第12条 市は、子どもを社会全体で健全に育成し、支えていくための取組を推進するため、必要な広報活動及び啓発活動を行うものとする。


(庁内体制)
第13条 市長は、子どもを社会全体で健全に育成し、支えていくための施策について庁内における総合調整を行い、これを実効性のあるものとするための庁内体制を確立するものとする。

(委任)
第14条 
この条例に定めるもののほか、この条例の施行について必要な事項は、市長が定める。


附則

1 この条例は平成22年4月1日から施行する。
2 この条例の施行の際、現に次世代育成支援対策推進法(平成15年法律第120号)第8条の規定により策定されている計画は、第11条の規定により策定された計画とみなす。