浜松HAPPY化計画ブログ

鈴木めぐみが見つけてきたあんなコト・こんなコト

政策には、副作用も見定めて〜認証保育所利用者へ2万円

11月議会の議案に、「認証保育所に通う3歳未満児の保護者に2万円を直接給付する」ための予算1億3200万円(債務負担行為)が計上されている。

資料によると
●この事業の目的は
1.認証保育所の利用促進
2.待機児童解消
であり、そのために認証保育所利用者の経済的負担を減らすこと。

●背景として
1.保育所の待機児童対策は、認可保育所の定員拡大や事業所内保育施設の設置促進などをしてきたが、未だ待機児童の解消には至っていない。(平成22年4月現在253人)

2.認証保育所の利用者数は、毎年4月現在定員の55%で、十分活用されていない。

●内容
待機児童数の70%を3歳未満児が占めることから、認証保育所を利用する3歳未満児の保護者に、認可保育所認証保育所の平均保育料の差額月額2万円を直接補助する。

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この事業内容を一見すると、待機児童減るし、保護者は働けるし、経済的負担少なくなるし、いいじゃん!って感じがする。

しかし、いいところだらけじゃないんじゃない?って、
チェックをする議員としては、まず議案は疑ってかかってみなくてはならない。

以前認証保育所のいくつかを回ったことがある。

施設によって、保育の質が大きく異なるなというのが正直な感想だ。
丁寧な保育を心がけているところから、「う〜〜ん」とうなってしまうところまで色々だった。保育は人に寄るところが大きいので、施設というより、保育士さんの質によるところが大きいだろう。

以前訪ねた認証保育所での話。

「終了時刻になっても、子どもさんを引き取りに来ない保護者がいて、連絡しても出ないんです。仕方がないので、自宅に連れていったこともあるんですよ」と私に話をしてくれた施設長さん。「市に連絡しました?」と聞いたところ、「いいえ。どう連絡すればいいのか、わからないし、保護者から恨まれてもと」と答えた。
育児放棄が疑われる保護者には、区役所なり、児童相談所なりに相談して欲しいものだ。

結局、その施設はなくなったが、その子どもさんはどう育っていっただろうか?心配だ。


これまでは、質のよくない保育所は、利用者に支持されず、淘汰されてきた。しかし、今回の保護者への2万円助成で、経済的ハードルが下がったこともあって、質関係なしに空いている保育所に流れていくということも予想される。(だって、市の目的は待機児童が減ることがなんだもの、流れていかないと困るじゃん!)

子どもにとって、特に3歳以下の子どもにとって、質のいいケアは後々の成長、発達に大いに影響する。

今回、認証保育所の質を上げるために、基準をアップするとか、年1回以上の立ち入り検査を年2回以上するとかの対策が上げられていない。

また、利用者から聞くところによると、市から助成があるからという理由で、保育料をあげる予定をしている保育所もあるとのこと。(それは違うんじゃない〜)

政策というのは、何かを解決するための「薬」みたいなものとも言える。だから、できるだけ副作用を起こさないようにしていかなくてはならない。きつい副作用があるようなら、別の薬に変えることを考えるべきだ。

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認可保育所認証保育所の違い>
●「認可保育所」は、児童福祉法に基づく児童福祉施設で、国が定めた設置基準(施設の広さ、保育士等の職員数、給食設備、防災管理、衛生管理等)をクリアして県知事に認可された施設。
 保護者が仕事や病気などの理由で、0歳〜小学校就学前の子どもの保育ができない場合に、子どもを預かって保育します。市が運営する公立保育所社会福祉法人などが運営する民間保育所(私立)がありますが、認可保育所は公費により運営されている。

●「認証保育所」は浜松市が平成14年度から独自基準を設けて認証をした保育所で、Ⅰ類とⅡ類の2種類ある。

●違い
<保育料>
認可保育所は、市が収入ごとの階層別保育料を決めている。
認証保育所は、自由設定(Ⅰ類は上限あり。3歳児未満8万円、3歳以上77,000円)

<入所契約>
認可保育所は、利用者と浜松市の契約
認証保育所は、利用者と事業者との直接契約

<入所児童の要件>
認可保育所は、市内に在住する保育に欠ける児童
認証保育所は、保育に欠けるは、補助要件


<職員/資格を有する保育士>
認可保育所は、児童福祉施設最低基準に規定する保育士数の全てが有資格者
認証保育所Ⅰ類は、保育に従事する者の1/2
     Ⅱ類は、保育に従事する者の1/3

<調理室>
認可保育所は、必置
認証保育所Ⅰ類は、必置
     Ⅱ類は、規定なし