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浜松HAPPY化計画ブログ

鈴木めぐみが見つけてきたあんなコト・こんなコト

官製婚活は必要?

人口減少の原因となっている未婚化・晩婚化を解消するという目的で、地方自治体による出会いの場の提供等の婚活支援事業が実施され、目立ってきている。果たして、婚活支援事業は行政が本当にやるべきことなのだろうか?

 


後出しジャンケンで市が参入→民業圧迫

 

平成28年度から

平成28年度地域少子化対策重点推進事業実施報告/浜松市

として、婚活イベントが始まった。男女の出会いの場を提供、家族形成意識の醸成の講座に加えて、平成29年度当初予算では独身の子をもつ親向けのセミナーや交流会も拡充し、1340万円を計上している。

 婚活イベントでは、旅行や農業、スポーツなどの市の特色を入れた4つのコースを設定し、160名の参加を予定しているという。平成28年度は、150人定員に対して280人の応募があり、最終的に206人の受け入れをし、盛況だったようだ。


これまでもこうした婚活イベントは、市内の民間企業、小さなお店などでも多く行われてきている。後出しじゃんけんで市が進出してきて、市主催だから安心、その上安いということでは民間企業は圧迫されてしまう。実際に、同じようなカルチャーセンタースタイルで実施する業者への影響は少なからずあり、差別化を図っていかなくてはならないと頭を悩ませていた。

 

なぜ市民の自主的な活動を評価しないのか

 今年度から始まる、はままつ「親」婚活セミナー&交流会は、1年目に受けた相談件数の半分が親からの相談だったからだという。憲法24条にあるように結婚はあくまでも「両性の合意のみに成立」するものだ。そこに、行政や親が大人の自立しているはずの息子や娘たちに遠慮なく介入していくのはどうなのだろうか。

 以前の浜松市では、青少年施設などで青年たちが自主的な運営で、はたちの講座とか、青春の講座とか青年向けの講座が活発に開設されていて、出会いの場や友達作りの場、さらに教養を身に着けたりする学びの場を自らつくっていた。年間を通しての活動のため、自然と仲が深まり、毎年コンスタントに結婚するカップルが出ていた。

 ちなみに、平成22年度当時の青春の講座への委託金額は、わずか7万9000円だった。市民の自主的な活動を評価せず、一部の業者に丸投げすることってどうなのだろうか。

 

民間ではできないことに注力すべき

 さて、「官製婚活」はどの程度の効果があるのでしょうか。結婚に至るまでには、おつきあいの時間が必要です。その後のフォローはほぼないし、どの程度結婚に結びついたのか、後追い調査をするのは現実的ではありません。

 また、たった1回のお見合い的な婚活イベントでカップルがどんどんできるのでしょうか?先に紹介した、青年たちの自主的な講座の方が日常的で、自然なふれあいがあることが大事です。もし、どうしても行政が絡むなら全国から参加者を募集して移住を促進したり、中山間地で開催したり、民間では採算が合わないプランニングではないでしょうか。

 未婚や少子化問題を解決するには、何よりも残業を減らすなどの雇用環境の改善、雇用や収入の安定が必要だ。内閣府の「結婚・家族形成に関する調査報告書」によると、結婚3年以内の既婚者と未婚者を対象にした調査で、年収別に男性の既婚率をみると、 年収の増加に伴い、既婚率はおおむね上昇していく。

 既婚率は、年収300万円未満では1割に満たないが、300万円以上400万円未満では 25%を超えており、年収300万円を境に大きな差が存在する。年収が少ない男性ほど、結婚との距離は離れていく。男性の20歳代の非正規雇用の労働者の年収は300 万円に満たず、男性の20歳代の非正規雇用の労働者の大半は未婚となることが想像がつく。

 

都合の良い「人生プラン」の押し付けにならないか

 そして保育園整備も先決だ。待機児童数は、平成28年4月現在214人。特に第1子、1歳児が深刻で、フルタイム、育休明けでも入園できないケースが出ている。こうした貧弱な保育状況では、仕事と子育てとの両立は難しく、キャリア志向の女性には、結婚、出産を選びにくい状況だ。

 そして、私が官製婚活を危惧している一番の理由は、政策として行政が結婚を推進していくことによって、特定な価値観や人生プランを市民に一方的に押し付けていることになるという点だ。

 今回の浜松市の「地域少子化対策強化事業」の中には、高校や大学などに訪問し、人生設計に結婚や家族形成を前向きに描けるよう、情報提供を行う「家族形成意識の醸成講座」の実施がある。そこで紹介している女性のモデルプランは、27歳で結婚し、仕事をしながら3人子供を育て、40歳で起業し、56歳でばあばになるというプランだ。

 結婚しないとか、子どもを産まないとか、同性と結婚したいとか、別の選択肢をプランするには、思春期な学生たちにとって大変勇気がいるし、また選択できるような枠組みとなっていない。ここから透けてみえるのは、女性は子どもを産むのがベスト、女性は仕事をする一方で、両親を介護し、定年後は孫の面倒を見るべきなど、「新たな固定的役割分担意識」だ。

 私は行政が特定の家族観やジェンダー観を誘導し、個人の生活意識にまで介入し、税金を投入することに強い懸念を抱いている。また、一方で結婚を望まない人やLGBT性的少数者)など、多様な生き方をしている人への配慮が含まれていないことも問題だ。自治体の「結婚から子育てまで切れ目ない支援」が、個人の人生の選択に介入してはいないか、慎重に検討する時期にきている。

 

 

2017年4月20日 政治山 掲載
https://seijiyama.jp/article/news/nws20170420.html