浜松HAPPY化計画ブログ

鈴木めぐみが見つけてきたあんなコト・こんなコト

川崎市の子ども関連施策

川崎市へ視察に行ってきた。

一番目の視察先は、「川崎子ども夢パーク」


一度現地へは行ったことがあるが、今回は理事長の西野博之さん(NPO法人 フリースペースたまりば)から直接夢パークの運営の基本的考え方、夢パーク内の公設民営のフリースクールがなぜできたのかなどなどを聞きたいと思ったのだ。

<西野さんの話から>

日本の子どもたちは、「自信がない」「自己肯定感が低い」という結果が出ていて、「生きていても仕方がない」という問いに「いつもそうだ」「ときどきそうだ」と答える子どもたちは18.8%もいるという実態調査の結果が出ている。本当は、すべての子どもは「生きているだけで祝福される」存在なのに。そのメッセージが子どもたちに伝わっていない。

不登校児童・生徒の中には、学校にとって内心戻ってきてもらいたくない子どもがいる。非行系の子、発達障害の子、精神障害の子などだ。しかし、その子どもたちの学習権がどう保障するのかという点について、答えを出していない。

だから、学校以外の居場所が欲しい。


子ども夢パークは市の施設だが、今年から指定管理者制度が導入された。NPO法人 フリースペースたまりばと川佐々木氏生涯学習財団のジョイントで管理・運営を行っている。年間約6000万円。その中には、光熱水道費、管理費、人件費などがすべて含まれていて、さらに公設民営のフリースクールの分の1800万円も含んでいての数字だ。 NPOの持ち出しが多い。

夢パークでの時間をゆっくりめにとってあったんだけど、聞きたいこと、見たいことがいっぱいで、気がついたら、3時間半もいてしまった。


その後、市役所に向かい、市民局、人権・男女共同参画室の子どもの権利担当の方の話を伺った。


川崎市は、全国でも珍しい「子どもの権利に関する条例」を2001年に施行している。そこで、策定までの流れ、施行後の動き、子どもの権利委員会の動きなどについて、教えていただいた。

1989年に国連総会された「子どもの権利条約」を市民、子どもたちに周知するところから、始まっていると聞いて、これまでの子どもの人権に対する基礎・基本が浜松と大きく違うと感じた。「条例のある効果は?」と聞いたところ、「なかなか効果をはかるのは難しいが、子どもたちの自己肯定感が全国平均より高い」と。夢パークができたのも、公設民営のフリースペースもできたのも、この条例があったからだと聞くと、浜松にも条例をと思う。
ただ、その前に「子どもの権利条約」を広げていく活動をして、多くの市民の理解が得られるようにしないといけないだろう。何とかして、形にしていきたいものだ。


3番目の訪問先は、教育委員会


予定にはなかった訪問先で、まして時間外にも関わらず丁寧に対応していただいた。
今、教育委員会のいじめにあっている子どもや親への対応のまずさが毎日のように指摘されているが、川崎の仕組みは
見習うべきものが多い。

その仕組みとは、教育委員会総務課内に「法制・賠償・情報公開」担当をおいていることだ。各学校で対応困難な事例を教育委員会は第3者的に調査をする。

今回聞いた具体的な事例では、深刻ないじめにあった子どもや親に丁寧に話を聞くと同時に、いじめをした子どもにも話を聞き、学校や先生にも話を聞いたそうだ。互いのいい分を聞き、そして判断をし、最終的に学校側が謝罪をしたという。当事者の保護者の方にも話を聞いたが、「謝罪をしてくれた学校を訴えることはできません」ときっぱりと言っていた。こうした第3者的で、冷静かつ温かい対応が、被害者の心を癒していくのだろう。

これまで、外に第3者機関をつくろうと提案していたが、今ある仕組みを柔軟に使うことでも、対応できると学ぶことができた。

8時間以上にわたる視察で、とっても疲れたけど、有意義だった。




「安心できる人と人とのかかわりの中で、一人ひとりの子どもが自己肯定感を育み、わたしがわたしのままでいいのだと思えること。そして、孤立しがちな親たちが安心してつながり、支えあえる社会をつくりだしていくことが求められている」(『居場所のちから』生きているだけですごいんだ/西野博之著/教育史料出版会)
居場所のちから―生きてるだけですごいんだ