浜松HAPPY化計画ブログ

鈴木めぐみが見つけてきたあんなコト・こんなコト

「みんなで楽しく政治しよう!+」第1回

 「どうして、政治家を志したのですか?」と聞かれると、今だにどう答えていいのか困ってしまう。子どもの頃から「政治は恐いもの、女性は関わるものではない」と言われ続け、政治は遠いもの、関係ないものと思ってきたし、ましてや議員は特別な人がなるもので、自分がなるなんて想像することすらなかったからだ。

 8年前そんな私に、女性を議会へ送りだすグループから次の選挙に挑戦しないかという依頼があった。当時私は、企画・イベント会社で働きながら、子育て支援や女性問題などの市民活動に関わり、活動を通じて市民の声が届きにくい市政に疑問を感じ始めていた。「え?冗談でしょ」ととまどいつつも、政治から遠ざけられていた私たちだからこそ「自分らしいやり方でこれまでの政治に問題提起をしてみよう」「女性にとっても政治は楽しいことを証明しよう」と立候補を決心。イベントのノリそのままで選挙戦を楽しく戦い、めでたく当選。そして今、これまで政治には無関心だった人たちと一緒に楽しく政治をしている。

 さて、私のところに毎日のように持ち込まれる課題は本当に多種多様だ。一見単純そうに見える課題ほど、複雑にからみ合っていて、行政の考えている事業や施策にあてはまらないことが多い。
 例えば、来年小学生にあがる子どもの親から「通学路に危険な場所があり、心配だ」という相談が寄せられたとしよう。さて、このような課題の解決策はどこにあるのだろうか。「よし、私に任せて」と「子どもの安全を守るために歩道をつくるべきだと思うが、市長どうか」と議会で質問をし、それで立派な歩道ができたとすれば、それで子どもの安全は確保できるだろうか。また、交通安全の黄色いワッペンを新入生の胸につけさせるとか、専門家を呼んで「子どもの安全シンポジウム」を開催するのはどうだろうか。無意味とは言わないが、それだけでは根本的な解決にはつながらない。

 危険な場所と言っても、車の往来が多いなどの交通の面、変質者が出没するなどの防犯の面、大雨時に水かさが増すなどの防災の面など、多面的に課題を考える必要もある。さらに、通学路の問題は、学校、PTA、自治会の他、市の道路管理課、道路維持事務所、交通政策課、街路課、防災対策課、教育委員会浜松市の場合)、そして警察なども関わっていて、どこにどう言っていいものかわからず、結局ずっと危険な状態のままというケースは意外と多いものだ。

 こんな時こそ、「みんなで楽しく政治」の出番だ。実際のケースでは、課題を持ち込んだ当事者のお母さんたちと、他の人たちはどう考えているのだろうかと、まずアンケート調査を実施した。アンケート用紙を近所に配ることによって、今までつきあいのなかった小学生の親たちと知り合いになり、実際の学校や通学の様子を聞けたことで不安を抱えていたお母さんたちは安心し、調査票配布という行動が解決のひとつにつながっていった。このケースは、アンケートを集計、分析し、今後どう展開していくかは、彼女たち次第だ。自分たち自身でできることを実施していくという自律的な活動になるようにサポートしていくつもりだ。そして今後どうしても、行政ではなくてはできないこと、あるいは制度を変えなくてはならないことになった時に初めて、私は「議員に与えられている力」を発揮したいと思っている。

「楽しく政治をする」ということは、行政や議員にお任せにするのではなく、自分たち自身で暮らしや街の中にある課題を見つけ、それをどう解決していくか、その方向性を決め、自らも解決のために行動に移していくという主体的で楽しい作業だ。

(「we」2005年掲載/一部修正)