浜松HAPPY化計画ブログ

鈴木めぐみが見つけてきたあんなコト・こんなコト

「みんなで楽しく政治しよう!+」第4回


「親たちのエンパワーメントをめざして」

■親自身の力を引き出す

 子どもをめぐる事件や事故が起きると、教師や専門家、政治家から「最近の親は親としての基本が身についていないじゃないか」なんて発言がよく飛び出てくる。それを聞く度に「最近の親」の私は、「じゃあ、どうしたらいいの?」と反発したくなる。

 親は最初から上手に子育てできるのではなく、戸惑い、悩みながら、様々な人に見守られ支え助けられて、子どもの成長とともに親として成長していくものだ。核家族で、様々な情報が氾濫し、日々子どものニュースが報道される中で「最近の親たち」は、これまでの親たち以上に「わが子は健やかに育つのだろうか」と常に漠然とした不安を抱えている。

 確かに昨今の国をあげての少子化対策で、親、特に母親の子育て不安については、社会的に認知が進み、支援の充実が図られてきた。しかし、その支援の方向は育児ストレスの発散や保育事業の充実に向けられ、時間をかけて親自身が持っている力を引き出し、自信をつけてさせていく本来の意味での親支援(エンパワーメント)はまだまだ不十分な状況だ。

 現実には、子どもが学校に行って直面するいじめや不登校、問題行動などの新たな課題に対して、親はとまどい、どこにも相談できず家庭で抱え込み、解決を遅らせてしまったケースや、親がトラブルにショックを受け、どうしていいかわからない時に「家庭に問題、責任がある」と一方的に非難するし、家庭を追い込むことで問題が別のことにも波及して複雑になり、悪化するケースなども出てきている。
 そこで私は2002年、親が問題だと思ったときに、誰が、どうしたら、より良い教育環境を提供できるのか、もっと具体的に考えよう、実践しようと小中学生の子どもを持つ親たちを中心に「おやおやプロジェクト」を立ち上げた。

メーリングリストは知恵が行き交う場

 おやおやプロジェクトメンバーは、子どもの学年や住んでいる地域、職業もバラバラで、関心や興味のある人たちによるゆるやかな幅広いネットワークから成り立っている。もちろん男性も参加している。一同に集まるミーティングを頻繁に行うことは難しいため、常にはインターネットによるメーリングリストを活用して、意見や情報交換をしている。最近共有したテーマでは、親と子どものパソコン環境、性感染症、参観会の託児、いじめ不登校、私立幼稚園の入園方法、高校入試教育委員会制度など。「どうしたらいいの?」という投げかけに様々な人がざっくばらんに持っている情報や自分の考えを話し、知恵が行き交う場にもなってきている。

 このプロジェクトは、2002年度には「学校5日制に対する親の意識調査」、2003年度には「親たちは学校に何を求めている?アンケート調査」を実施した。調査分析は何回かに分けてプロジェクトメンバーによるフリーディスカッション方式で進めた。その中で学校内のいじめ、先生からのセクハラ、性的被害など、子どもの人権侵害のための第3者機関の設置の必要性が浮かび上がってきた。それをもとに私は行政や議会にその必要性を提案した。

■これからのアクションプラン

1.「浜松おやおや白書」(仮称)の作成
 子どもをめぐる課題を解決するためには、親や家庭を孤立させないよう、子どもや親たちの現状や課題、事例を多くの人と共有し、解決の方向を探ることが必要で、このことが親のエンパワーメントにつながっていくと考えている。そこで今度は18歳までの子どもの現状(データを含む)や事例をまとめた「浜松おやおや白書」(仮称)を作成したい。

2.親たちのリスクマネージメント講座
 親は予期もせぬ時にいじめ、非行、性行動、間違ったパソコンの使い方など子どもをめぐる課題に直面する。危機はないに越したことはないけれど、あった場合を想定して親が対応策を心得ていれば、早期発見、早期解決とまでもいかなくても、悩むながらも対応していくことができるだろう。この親のためのリスクマネージメントとともに、子どもが被害者になる場合だけでなく、加害者にもなることも想定した役立つ講座を実施したい。

(「WE」2005年/一部修正)