浜松HAPPY化計画ブログ

鈴木めぐみが見つけてきたあんなコト・こんなコト

「みんなで楽しく政治しよう!+」第7回

もっともっとまちを好きになる!
〜「まちはびっくり箱だぁ!」プロジェクト〜

■新しいまちができる

 私が応援団として参加しているいくつかのプロジェクトのひとつが「まちはびっくり箱だぁ!」プロジェクトだ。

 このプロジェクトのフィールドは、浜松駅北東側に位置する「東地区」と言われるところだ。この地域は戦災により全焼したにも関わらず、戦前の道路がそのままに残っていた。またここは浜松市の都心地区の一角であることから、市は新たな都市拠点づくりを目指して、昭和62年から総事業費672億円(当初予定)をかけて東地区土地区画整理事業を始めた。まちは、道路の整備、官公庁街の建設、公立民営の4年制大学の新設、公園の整備、マンション建設などインフラが徐々に整い、大きく変貌を遂げてきた。しかし、事業が始まって約20年を経ているため、そこに住むまちの人たちの状況も大きく変わってしまった。以前住んでいた住民は、事業が終わるまで一旦この地を離れて暮らしていたが、区画整理事業が完成し始め、まちに戻り始めた。しかし、次々に建つマンションに新しい住民が住み始め、同じまちの住民同士でありながら、見知らぬ人ばかりで、整然ときれいになった反面、無機質なまちになってしまっていた。

 そこへひとりの元気な地主である男性が、「新しいまちを何とかしたい!」と声をあげた。そして、以前からまちをフィールドに、イベントをしたいと考えていたクリエーターや学生と男性が、たまたま出会ったことでこのプロジェクトが立ち上がった。

■テーマは「まちはびっくり箱だぁ!」

 イベントを企画するのは、みんな初めてのことだった。そこで、私はイベントのコンセプトを組み立てる作業から手伝った。
 テーマを「まちは人を楽しく、驚かせるびっくり箱」と決めた。具体的には、このまちに、人、作品、音楽があふれ、思いがけない発見や新たな出会いに遭遇するイベントを開催することに。でも、ただイベントすることだけを目的にしたくない。地域の人たち、クリエーター、大学生、NPOなどの多彩な人たちが協働し、企画・運営をしながら、新しい発想でまちを創造していく一歩にしたい。そして関係したすべての人たちがイベントを楽しみ、さらに自分のまちを好きになっていくことを最終目的にしようと夢を掲げた。

■プロセスを通じて、まちを好きになる

 どうしたら、まちを好きになるか、どうしたら、まちがわくわくドキドキするびっくり箱に変化できるか、何度も話しあっている。またこれまでに、まちの良いところを探検するワークショップを地域の人たちや参加者と2回開催し、その成果を「かわら版」として配布し、イベントまでのプロセスを大事にしている。

 世代や性別が異なる即席スタッフによる話し合いは、とかくこれまでにありがちな権力構造が出始め、どうしても先輩男性である地域の方が若い女性のクリエーターたちを威圧してしまうような形になってしまい、関係がギクシャクしてくる。その度に私は、互いが対等な関係を確認し合い、同じまちを構成する仲間として、尊重する関係になるように、働きかけていく。このプロセスを通じて世代・性別を越え、協力する手法を取得してもらうこともこのプロジェクトの大きな目的のひとつだ。

 これからの地方分権時代には、市町村の自治能力とともに、市民の自治能力が試される。この市民の自治能力がどれだけ発揮されるかによって、まちのチカラが決まってくる。浜松市も来年の7月には11市町村と合併をし、人口80万人の大きな市になる予定だ。だからこそ、市民の自治能力を磨き、自らの手で「住んでよかったまち」にしていきたい。

(『WE』2005年/一部修正)