浜松HAPPY化計画ブログ

鈴木めぐみが見つけてきたあんなコト・こんなコト

多摩市の決算特別委員会傍聴

東京都の多摩市議会の決算特別委員会を傍聴してきた。

7月に開催された「変えなくちゃ!議会」シンポジウムで多摩市の決算特別委員会の新たな取組みが紹介された。よく考えてみると、10年近く議員をしているが、他の議会をじっくり見る機会ってこれまでなかったので、「現場」を見にいこうと、9月議会の合間をぬって、出かけてきた。

19日は、決算特別委員会の初日で、「総括質疑」「歳入」「歳出のうち、議会費」を傍聴した。



<多摩市と浜松市の違い>

地方行政が異なるように、地方議会もそれぞれ異なるのは、頭ではわかっていたけど、現場で見るとこんなに違うなんて、びっくり。

以前から知り合いの多摩市議岩永ひさかさんが、「多摩市議会って、先進的かしら?」って言っていたけど、「ひさかさん、浜松と比べると十分先進的ですよ」。




●一般会計予算規模(20年度当初予算)


 多摩市/ 484億円

 浜松市/2668億円 *多摩市の約5.5倍

●委員メンバー

  多摩市/議長、議会選出の監査委員を除く、全議員

  浜松市/各会派から選出&常任委員会の委員長、54名のうち18名

●答弁者

  多摩市/市長、副市長、部長、課長
      総括質疑では、市長が答弁していた!全日、市長が出席

  浜松市/原則、担当課長が答弁。
      部長や副市長は出席はしているが、答弁することはほとんどない
      市長は、出席なし

●日程
 
  多摩市/6日間(総括質疑、一般会計歳入・歳出、特別会計)に加え、最終日には議員同士の意見交換の時間を今年度新設
 
  
  浜松市/3日間(一般会計歳入・歳出、特別会計

●質疑方法

  多摩市/1人30分×会派の人数、会派持ち時間制
      総括質疑では、通告なしの一問一答。
      質問者も答弁者も原稿なしで、やりとりしていた!!
      政策や事業の評価に関する質疑が多かった

  浜松市/時間制限なし。しかし、質問回数を制限されることもしばしば

●資料

  多摩市/(1)決算書(2)決算及び各基金の運用状況審査意見(3)主要施策の成果説明書(法定調書)、
       補完資料として、決算事業報告書、事業カルテ、事業診断書
         *これが浜松と比べると充実していた
       その他、議員からの請求資料

  浜松市/(1)決算書(2)決算及び各基金の運用状況審査意見(3)主要施策の成果説明書(法定調書)
       今年から、事業評価シート(使えるシートになっているかどうか)
       その他、議員からの請求資料

<感想>

 「どこの議会も同じじゃないの?」と言われてきたけれど、いやいやこれだけ違ってこと自体が、面白く、大変勉強になった。

 総括質疑では、大きな視野、あるいは自分たちの主義・主張から、決算を読み、それを直接市長に質していくのは、緊張感があったし、議会が政策決定に関与していることが明確になる。

浜松では、市長は出席しないので、決算に対して「どう評価しているか」「どんな課題が残っているのか」がちっとも理解することができない。全日程は無理としても、執行の責任者である市長が、決算に対して答える機会が欲しいものだとつくづく感じた。


 会派持ち時間制は、ほぼ全員参加の多摩市議会だから必要であろうが、議会の意思として統一的意見にまとめていくには、適さない手法だ。今年度から、多摩市議会は最終日に「議員同士の意見交換会」を初めて導入するということだが、会派持ち時間制のデメリットをカバーする手法として、注目したい。

 多摩市の約5.5倍の浜松市の決算を、半分の3日間で審議するというのは、やはり限界があるのではないかと思った。浜松市議会もようやく決算審議のありようを検討しようとする動きが出てきているので、多摩市議会の試みも参考にしていきたいものだ。

 私が考える決算審議の改革の方向としては、

 ●個人や会派の意見要望にとどまらず、議会全体としての意見を集約をして、次年度の予算に反映できる決算審議にどうしていくか。
 
 ●予算執行責任者である市長と議会の「決算」に関する議論をどう担保し、政策評価に議会が関われるようにしていくか。