浜松HAPPY化計画ブログ

鈴木めぐみが見つけてきたあんなコト・こんなコト

川西市子どもの人権オンブズパーソン

兵庫県川西市では、全国に先駆けて子どもの権利擁護の活動をする公的第3者制度「川西市子どもの人権オンブズパーソン」制度があり、昨年で10年を迎えた。


現在、相談件数は約500〜650件。子どもからの相談の割合が年々に増えてきていて、約4割を占めるようになってきた。「交遊関係の悩み」「家族関係の悩み」「いじめ」「教職員等の暴言や威嚇」など。

川西市の子どもオンブズパーソン制度は、1994年全国的ないじめの多発を受けて、教育委員会協議会で「いじめ問題」についての協議を始めたことから始まった。95年市教委が「子どもの人権と教育」検討委員会を設置し、提言書を提出。その中に、「子どもの人権オンブズパーソン」の創設を提言。97年市教委の附属機関としてオンブズパーソン制度検討委員会を設置し、答申。
98年「川西市子どもの人権オンブズパーソン条例」を全会一致で可決。99年6月より、相談、申立ての受付開始した。
国連の「子どもの権利条約」の理念を施策に取り入れた子どもの救済機関は、全国で初めて条例で制度化した。


1月14日、直接オンブズパーソンの方々の話を聞くために、川西市に伺った。

毎週木曜日の午後に行われている研究協議(オンブズパーソンそれぞれの専門分野からの知見、相談員や事務局などの報告をもとに、具体的な相談活動や調査活動の対応の検討や事例研究を行う)の1時間の時間を取ってくださった。オンブズ3人、調査相談専門員(相談員)4人、調査相談専門員(専門委員で、元校長先生)1人、事務局職員1人で対応。
 いままでみてきた相談機関とは違い、皆さんがとても明るく、話しやすい雰囲気があった。

「子どもを中心に考える」ことを重視し、親からの相談は、子どもにどうつながるかをいつも心に留めているそうだ。

条例化されていることで、理想論ではない現実の取り組みができ、子どもの大変な状況について、一緒に考えましょうという調整役として関わることで、関連機関には受け入れてもらうことができるそうだ。


オンブズパーソンというと、「追求する」という印象を受けがちだが、ここでは子どもを中心として、調整役をしていて、いい関係づくりを目指している。
子どもの人権オンブズパーソンは、子どもの立場に寄り添って子どもの声を代弁したり、子どもの利益を実現するための必要な対応について具体的な提案をしていく。一人ひとりの子どもの現状に即して具体的な解決方法について具体的な解決方法について対話を重ねることで、相手に伝わっていく。「子どもの人権」を対立軸として打ち出すのではなく、「子どもの人権」を守るためには、相互の理解を促進して、関係を修復していくことを目指している。

 
 2008年度調査に入ったのは、4件。(1件は取り下げ、1件は調査継続中)

食物アレルギーのある子どもを持つ保護者からの「安心して給食が食べることが可能なシステムの構築」の申立てを受けて、オンブズパーソンは調査をし、市教委に対して「子どもの権利保障の観点から食物アレルギーのある子どもが安心して給食を食べることができるよう」意見表明を行った事例。

中学3年の男子生徒が茶髪を注意され、黒染めスプレーを教師からかけられたことに対し、オンブズパーソンは調査に入り、「子どもの人権を保障する観点から、生徒に意に反して髪染め等の指導を行うことは、たとえその動悸が教諭らの主張する生徒のためであったとしても、重大な人権侵害を引き起こし、子どもの心情を深く傷つけ、信頼関係を壊し、その後に学校生活に深刻な影響を与えていく」と是正申し入れをおこなった。

 
広報活動に力を入れていて、オンブズパーソン自らが出前や出張にいく、ポストカードを学校で配布する、小学3年生は社会科授業の一環として、「子どもオンブズくらぶ」へ見学あるなど、広報活動も盛んに行っていた。その結果子どもの認知度アップ、相談件数の増加に繋げていて、小学校5年生で8割の児童が子どもオンブズパーソンのことを知っているそうだ。

川西市のオンブズパーソンと学校・教師との関わりは、この10年間で大きく変わってきて、最初は警戒していた学校が多かったが、積極的に使おうという学校がでてきた。先生方がオンブズに相談することが一つの解決方法だと理解するようになった。

年間予算は2800万円。大部分が人件費。オンブズパーソン3名の報酬費、調査相談専門員4名の報酬費で約2400万円。


エンパワーメントとは、回りの環境を整えてあげることだというオンブズパーソンの桜井智恵子先生の言葉が印象に残った。子どもの問題を解決するためには、子どもが安心して希望を持って生きられるような人間関係を再構築すること、そのためにも子どもの回りの大人を支えていくことが大切とも話をしてくださった。

「子ども第一主義」というのは、まさにこうしたことを指しているのではないだろうか。


*1月23日、川西市の子どもの人権オンブズパーソンの相談専門員の生田収さんをお招きして、実際の様子を直接伺う機会があります。
ぜひ、お出かけください。

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【学習会】
みんなで考えよう!子ども育ち・子ども支援
ー子どもにやさしいまちづくりと浜松の子ども条例ー

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●子どもに必要な権利保障とは?
  
地域の子どもたちの権利侵害の状況を知ろう。
子どもたちの権利保障を考えよう。
<講師>
   伊豆田 悦義さん(弁護士)
●市民が要望する
     子ども条例を考えよう!
浜松の子ども施策が「子どもの権利」を保障したものになるために
市民のできることとは?

●子どもにやさしいまちづくり
川西市子どもの権利オンブズパーソン条例」
子どもの最善の利益を求めてー
10年間の実践・取り組みー
<講師>  
   生田 収さん
   (川西市子どもの人権
     オンブズパーソン調査相談専門)

●日 時:2010年1月23日(土)13:00〜16:30(受付12:30から)
●会 場:浜松まちづくりセンター
          2階研修室
     住所 浜松市中区中央1丁目13−3  
     TEL 053-457-2616
●参加費:500円(資料代)
●定 員:100名
●託 児:有り ひとり500円
    事前申し込み(締め切り1月16日)
    託児申込先
     FAX 053-442−4282 (牧)
     e-mail kanakoppi1995@yahoo.co.jp
     e-mailの件名に「子ども条例学習会」と記入してください。
     連絡先と保護者名と子どもの名前年齢をご記入ください。