浜松HAPPY化計画ブログ

鈴木めぐみが見つけてきたあんなコト・こんなコト

家族介護者を支えるために

タレントの清水由貴子さんが母親の介護に行き詰まり、自ら命を絶った事件、覚えていらっしゃいますか?

介護に苦しみ、殺人を犯した事件、心中事件もニュースで伝えられています。「介護うつ」と介護のストレスが原因で身体や精神を病んでいるケースが少なくありません。また介護のために失業や転職をしなくてはならず、経済的に困窮するケースも多いようです。

介護保険制度が導入されて10年。介護の社会化進んできた一方、介護保険では適用されないケースや使いたくても経済的に無理な場合もあり、家族の介護者の負担は相当なものがあります。
しかし、在宅で家族の介護を担う人の多くが肉体的にも精神的にも疲れきって行き詰まり、過酷な状況にあるのにそれが社会問題として認識されていない状況です。


先日、東京で開催された「ケアラー連盟」の発足会に参加してきました。全国で初の介護者支援のネットワークです。

ケアラー(介護者)は、高齢者介護だけでなく、障がい者介護、病気の看護を無報酬でする人たちを指しています。

発足会では、連盟の趣旨説明の後、3人のケアラーの経験談を報告されました。

自分が生まれる前から統合失調症を患っていた母を一生介護し続けた父を持った子どもさん(とっても、今は大人)。

両親の介護で仕事を辞めざるを得なくなり、ストレスから自殺までしようとした娘さん。

21歳なる「一見健康そうな」息子の知的障がいと自閉症に振り回されたお母さん。

どのお話も、胸が苦しくなりました。

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日本福祉大学の湯原悦子准教授からは、「介護疲れの殺人」の現状が報告されました。

1998年から2009年までの12年間に報じられた「介護殺人」は454件、461人が死亡。加害者は男性約7割、被害者は女性約7割。加害者自身も病気や体調不良など、加害者自身何らかの支援を必要としていた事例は42%と半数近くを占めていた。

介護者自身、支援を必要としている人が多いことが明らかで、介護を苦に殺人または心中をする事件を減らすためには介護者支援の充実は欠かせない。

介護保険法を根拠とする家族支援事業は、任意事業であり、自治体には行われなければならない義務はない。

介護者自身の身体的、精神的状況等を正確にアセスメントし、その結果に基づいて適切な支援を提供していくことが必要だ。

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●その後、静岡大学の三富教授から、介護者支援の国際動向の報告がありました。

経済生活の維持(自治体への雇用、老齢年金の保障、介護費用の所得税控除など)、仕事と介護の両立、サービスの利用、心と体の健康維持、休日や休暇の享受などが諸外国で介護支援として実施されている。

●最後に、「介護を必要としている人も介護者も、ともに自分の人生の主人公になれる共生の社会をつくることをめざして」と「ケアラー(家族など無償の介護者) 連盟結成宣言」が採択された。

<感想>
子育て支援では、子育て家庭支援が重視されているが、介護(高齢、障害、病気など)では家族介護者への支援が薄いこと、社会的に認められていないことに改めてショックを受けた。

少子化、晩婚化で、子育てと介護が一緒になる家族、10代20代で親の介護を看なくてはならなくて、就職できなかった人、老老介護など、様々な家族があることは容易に想像できる。

浜松においても、介護者支援の視点を政策に反映させていきたいと思う。

同じ会場にいた杉並区議から、さらに他の市町村の取組状況などの情報をいただいた。9月議会での一般質問に向けて、さらに調査を進めていきたい。