浜松HAPPY化計画ブログ

鈴木めぐみが見つけてきたあんなコト・こんなコト

議員定数削減だけが議会改革じゃない

浜松市議会は、現在の54議席から46議席に8議席もの大幅削減をし、政令市の中で最低数とすると9月議会で決定した。私は、定数削減だけで議会改革でなく、もっと本質的な議会改革をしなくてはならないと反対をした。

12市町村合併に伴う平成17年の増員選挙の時には、定数65だったものを、前回の19年の改選期には54と大幅に削減した。そして今回の削減案になると、この6年間で19議席、約3割もの削減だ。  

 削減理由は、「議会が率先して行革に取り組む姿勢を市民に示すべき」とのことだが、果たして市民の本意はそこにあるんでしょうか?

 市民は議会が本来有している「行政の監視機能」「市民の声を市政の反映させる」という機能を十分果たしていないことを不満に思っている。議会が何をしているのか、わからない。議会を信頼していない。機能が果たせていないので、削減どころか「議会なんていらない」とまで言われている。

一方で、行革審が市民の一定の評価を受けているのは、市議会が本来しなくてはならない「行政の無駄使いの監視」を公開の場で、ずばっと厳しくしているからだ。行革審にチェック機能nの一部を任しているのではなく、議会がそれを取り戻し、行革審以上の成果をあげることこそが、議会が本来果たすべき「行革」への取組だとは思う。

行革審が行政の無駄使いのチェックはできたとしても、地方議会に法的に付与されている重要な機能を代わりに果たすことができない。地方議会は、住民のもっとも身近な議会として、住民の声を自治体に反映する住民の代表機関。行政のチェック、住民要望の反映、立法機能という他では代われない重要な機能を持っている。

浜松市は、政令指定都市となり、市長、執行部の権限が拡大、強化され、守備範囲も広がった。二元代表制の一翼を担う議会は、市長の追随型ではなく、市長、執行部の大きな権限に拮抗し緊張感を持って、市長、執行部を監視、牽制し、さらに議会から市政に対案、議案を出せる、議会としての機能力をアップさせなくてはならない。

しかし、議員数が減っていけば、チェックする目は少なくなり、執行部に対する相対的な力は減少し、議会の機能は弱体化していく。議会の存在意味が市民に見えにくくなっていき、となると、また削減せざるを得ないと悪循環になりかねない。

議会の批判監視能力の低下は、市長や執行部の言いなりになったり、市長の暴走、独裁を止められなくなる可能性も大いにある。最終的には住民自身がマイナスを受けることにつながる。

もうひとつ指摘しておきたいことは、議員定数の削減は民主主義の空洞化、多様な民意の削減につながるということだ。鈴木康友市政は市長就任からこの3年半で地域協議会を廃止し、附属機関への公募委員、市民委員を削減してきた。地域協議会に変わる仕組みは未だよく見えてこない。市民参画の後退だ。さらに、議員定数の削減が実施されると、多様な民意が反映されにくくなり、少数の意見が尊重されなくなる。

 老若男女によって構成される市民の職業や生活基盤は様々で、抱えている課題や関心、考え方も多様だ。定数削減で多様な民意を反映が担保されるのでしょうか。多様な民意を反映させるためには、議会に多様な人たちが議会に参入してこそだ。

コスト削減であるなら議員定数を削減するのではなく、その分報酬を下げ、多くの方が参入しやすい、議会こそがこれからの地方主権時代の議会ではないだろうか?

スェーデンでは、以前議員定数の上限が定められていた。しかし、自治体の合併に伴い、地方議員の数が減少したため、少しでも減らさないためにと、上限が撤廃された。今では、定数の最低限度のみ定められている。有権者数が3万6000人以上のコミューンでも、最低61人の議員数となっている。日本でも、地方自治法改正の検討の中で議員定数上限の撤廃を挙げられているところだ。

また、議員数が少なくなると新人が参入できにくくなり、議員個人に特定の利権が固定化する危険性も高くなることも指摘しておく。議会としての機能強化は必要だが、議員個人への権力の集中は避けるべきで、分散すべきだ。そのためにも、議会への参入のハードルを低くし、数の確保が重要。

なすべきは議会の活力を高める改革。議会への信頼の回復。議員定数を減らしても議会への信頼は回復しない。
昨年の4月、早稲田大学大学院教授、北川正恭さんが浜松に来られ、講演をされた。そこで、北川教授は、「地方自治体は好むと好まざるとも、地方政府になっていかざるをえない」、「地方政府は、自治立法権、自治調整権、自治財政権が必要」「地方政府になるためには、執行部と緊張感のある地方議会になる必要がある」と語り、また、議会基本条例の必要性も何度も強調された。

 全国では次々と議会改革が進んできている。9月24日現在で123の議会で、政令指定都市では3議会で議会基本条例が制定されている。それ他、一般質問の一問一答方式の導入、議会や委員会主催の議会報告会の実施、議員同士の討議の制度化、通年議会の導入が続々とされてきている。浜松市議会は、まだその議論のまな板にのっていない。

そもそも、議員の定数を議会だけで決めることに無理がある。住民の意見を聞く機会を得ることが必要だ。

今回の定数削減が、定数削減ありきだけで、議会の機能強化につながらないこと、多様な民意の反映への配慮がないこと、議会改革につながっていないのが残念だ。